冬キャンプ防寒・暖房器具の一長一短・動画編
北海道で冬にキャンプをする上で、防寒対策は何より重要です。
冬テントで暖をとるための4つの手段を比較します。①カイロや湯たんぽ ②電気毛布と電気ストーブ ③石油ストーブ ④薪ストーブです。 動画と文章の解説2種類を掲載します。
冬キャンプ防寒・暖房器具の一長一短・テキスト編
① カイロや湯たんぽ
使い捨てカイロは、コンビニやスーパーなどどこでも購入できます。24時間一定の温度を保つことができます。腰だけでなく足首や手首など血管が集中するところに貼ると効果的に体を温めてくれます。
写真は専用の湯たんぽです。アルミ水筒などにお湯を入れてシュラフに入れて代用できます。カイロや湯たんぽは、手軽に導入することができ、どこでも活用できますが、これだけで一晩過ごすことは、個人差はあるものの現実にはかなり難しいはずです。
② 電気毛布と電気ストーブ
電気毛布と電気ストーブは、比較的安価に入手できます。私が使っている電気毛布は「山善 電気敷き毛布YMS-14(140×80cm) 」という製品です。ホームセンターから約2,000円で購入しました。電気ストーブも安価に入手できます。 写真の電気ストーブは、ホームセンターで現品処分という首振り式の品を、約3,000円で購入しました。その後、同じものを見かけたことがないので、品番は書きません。
①と共通する 最大のメリットは、排気ガスが出ないので基本的に安全(ヤケドには注意が必要) ということです。もう一つのメリットは、価格が比較的安価、小さめの車にも無理なく積め、一般的なテントにも導入可能ということです。
欠点は、電源が必要なことです。北海道冬に営業しているキャンプ場では、アルテン、追分、ポロシリなどがAC電源を備えています。それ以外のキャンプ場では利用できません。他の対策としては、仲間のwさんの「アウトランダーPHEV」のようなプラグインハイブリッドEV車か、非常用電源を持っていることですが、現実的ではないので忘れてください。
とりあえず、電気毛布と電気ストーブを①にプラスすれば、テントで一晩過ごして無事生還することは、可能だろうと思います。
人に「冬キャンプってできるの」と聞かれたときは、ここまでの情報を教えます。二人で1万円以内の投資であれば、1度で懲りてもあきらめがつくと推察できるからです。
③ 石油ストーブ (カートリッジ式ガスストーブ)
ここから先は、泥沼注意!という情報です。
カートリッジ式ガスストーブと石油ストーブの価格は1万円から5万円の範囲です。私が使っている「トヨトミ・レインボーストーブ」(左)は、近くのホームセンターから約3万円で購入しました。ガスカートリッジ式ストーブは、「岩谷CB-STV-MYD」(右)で、1万円程度でした。
一晩で冬キャンプに懲りてやめることになっても、これらのストーブは「大規模停電対策備品」として、 家族に言い訳ができる製品です。2018年の秋に、ブラックアウトという大規模停電を経験した北海道で、ガスカートリッジ式ストーブ は家庭で必要な備品です。我が家でもキャンプと関係なく購入していました。
さて、石油ストーブの冬キャンプ用の暖房としてのメリットは、十分な暖房性能を持っているということです。( ガスカートリッジ式ストーブは 冬キャンプ用としては役不足です)
私が使用しているローベンスクロンダイクは、床が4m×4mで8畳間ほどの広さの大型テントですが、石油ストーブを着火するとすぐに室温が上昇し、あっさりと20℃くらいに達してしまいます。外気がマイナス10℃でも、その程度の温度は維持できており、内外の温度差を30℃まで開くことが可能です。体感的には、石油ストーブをテント内で焚くと「寒いと感じることはない」と言っていいと思います。(いわゆる個人の感想で、装備の条件で差異があります)
「道産子は、冬も家の中でTシャツを着て、サッポロビールを飲んでいる」と、テレビ番組で笑われることがありますが、実は、テントの中でも同じことをやっています。
デメリットを説明する前に、「冬キャンプ暖房の本命は石油ストーブ」と、個人的結論を言ってしまいます。
次に石油ストーブのデメリット・危険性を説明します。
・一酸化炭素中毒による生命に関わる危険性がある。
・転倒などの事故により火災の可能性がある。
・いわゆるツールーム型以上の大型テントでなくては、設置することができない。
といったところです。「テント内の火気使用厳禁」は、ストーブ、テント、キャンプ場それぞれのマニュアルの先頭に、大きく真っ赤な字で書かれているのを目にするはずです。実際に事故は起きており、他人ごとではないのです。対応策は、別ページで説明します。
④薪ストーブ
私も、誘惑に負けて購入して使用しているので、偉そうなことは言えませんが、?????という道具です。
冬キャンプの防寒・暖房器具という点では、上記のように石油ストーブが優れていると思ってます。雪が降る中、ようやく設営完了、一刻も早くテントに入って暖まりたい。そんな時に、どちらが早く体を温めることができるかは言うまでもありません。せっかく暖まっても、2時間ごとに薪をくべなくてはなりません。「煙突から吸排気するので、一晩じゅう焚くことができる」というWeb情報があります。けして間違いではありませんが、どんなに太い薪をくべて燃焼を絞っても、3時間で真っ白い灰になってしまします。熾火の勢いが残っているうちに次に薪をくべなければ、消えていまうのです。「一晩中2時間ごとに起きて薪をくべることができれば・・・・、暖かい」というのが、薪ストーブの真実です。
これ以外のデメリットを説明します。
・価格が高い。私が使用しているのは、ノルウェー製のGストーブです。世界最高級品の一つ、しかも秀岳荘から正規輸入品を買ったので、正直なところ本体だけで高価です。さらに、これでもかというくらいの付属品が必要で、細かく足し算するとかなりの金額になります。買ってきてすぐは、妻に正確な金額を告白できませんでした。
・テントを選ぶ。基本的に耐熱性に優れたTC素材のテント使用が前提になってきますが、それだけでなく、ユーザーの皆さんは 煙突の熱を テントに伝えないためにものすごい工夫をしているようです。DIY技術の見せ所というような感じです。
テント内火気厳禁というメーカーが一般的ですが、調べると北欧を中心にいくつかのメーカーは、煙突穴を標準で装備したテントを製品化しています。どうしても、そんなテントに目が行ってしまうのですが、その価格はまともではありません。テンティピ、バンゲラドームなどを検索してください。シロクマ印で有名な ノルディスクは、標準では煙突穴対応にはなっていないのです。テンティピなどに比べると、「私のローベンスはリーズナブル」といいたいところですが、比べる対象を間違えているだけで、すでにまともな感覚を失っています。
・でかい。私が使っているスバル・アウトバックは、そんなに小さい車ではないのですが、冬キャンプでぎゅうぎゅうになった荷室に、薪ストーブを新たに積み込むにはかなりの工夫が必要でした。テント内でのレイアウトも見直す必要がありました。
薪ストーブの魅力と安全対策は、別に書くことにします。
薪ストーブは、「冬キャンプの道具」というより、「それ自体が独立した一つの趣味」というべき存在です。
薪ストーブを使うことで負担が増加し、冬キャンプがつらくなることがあるかもしれません。